当社は、戦前から浮遊選鉱剤の国内最有力メーカーでした。
戦前には鉄鉱、非鉄金属、石炭等の生産確保と増産が国策でしたが、当社の主製品である樟脳副産油の性質を利用し、非鉄金属、石炭の精選薬品として浮遊選鉱剤を開発し、国内の大半の非鉄金属鉱山や大手炭鉱に供給しておりました。
戦後の経済復興期には、非鉄金属会社各社の事業拡大により、国内鉱山は製錬所を含め略100工場にも及びました。
当社の浮選剤需要も増え続け、起泡剤(浮選剤)原料も樟脳副産油からテレピン油へと代わり現在に到っております。
国内鉱山の現状は、一部金鉱山を除くと鉱石採掘する鉱山は皆無となりました。これは炭鉱も同様で、これら鉱物の日本の需要は、総て外国資源に頼る状況が続いています。

現在、起泡剤、金属捕収剤等の浮遊選鉱剤は、金属製錬所の浮選処理工程、珪砂-長石分離浮選、石英の脱カーボン、脱鉄浮選等にご使用いただいております。
永年の間、浮遊選鉱業界に関り、多くのノウハウを得ましたが、近年浮遊選鉱技術への関心が薄れつつあることを憂えております。折角の技術を後世に引き継ぐために、今後も関わり続けたいと考えております。